外国人技能実習生の面接でベトナムに。料金や失踪の実態は?


先日、外国人技能実習生を受け入れる長野県上田市の建設会社の社長さんと面接のため、ベトナムの首都ハノイに行ってきました。

日本人の雇用に関して、シニアの活用や女性の活躍など様々な試みが行われていますが、昨年総務省が行った国勢調査では1920年の調査開始以来、日本の総人口は初の減少となり、少子高齢化による労働人口の減少は今後さらに深刻になっていきます。

このため政府も外国人技能実習制度の拡充を決定し、2016年11月に一部の法改正が公布され2017年11月に施行予定です。

改正内容は、現在受け入れが認められている職種に「介護」を追加し、就労期限も3年から最長5年へと延長できるようにすることです。

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律について(外部リンク:厚生労働省)

そこで今回は外国人技能実習制度の説明から料金など総額費用、失踪などの実態をお伝えしますので、外国人技能実習生の雇用を考えている企業は参考にして頂ければ幸いです。

1. 外国人技能実習制度とは?

発展途上国の外国人の方を日本の企業等で雇用関係の下、日本の高い技術・技能・知識を修得する為、人を育てる「人づくり」を目的として創設された国際協力のための制度であります。また日本の技術・技能を身につけるため日本に来ている外国人を技能実習生と呼びます。

受け入れる方式は企業単独型と団体監理型に分かれます。団体監理型の場合、技能実習生は入国後に日本語教育や生活習慣など講習を受けた後、実習実施機関(受入企業)との雇用関係の下で、実践的な技能の修得を図ります。

1年後に技能習得の成果が一定水準以上にいると認められるなどして「技能実習2号」への変更許可を受けることにより、最長3年間の技能実習が行えます。

外国人技能実習制度の可能な職種は?

制度を利用して受け入れ出来る職種には制限があります。制度で定められた職種のみが実習生制度を利用して受け入れる事が出来るのです。

2016年4月1日現在で74職種133作業が技能実習2号へ移行が認められており、次の業種が主になります。

  • 製造業(機械・金属、食品製造、繊維・衣服、プラスチック成形、塗装・溶接、印刷・製本など)
  • 建設業(型枠、とび、鉄筋、内装、建設機械施工など)
  • 農業・畜産(畑作・野菜、施設園芸、養豚、養鶏、酪農など)
  • 漁業(漁船、養殖など)

また最近追加された職種で言えば、惣菜製造業・自動車整備業・ビルクリーニング業があります。また今後追加される職種は、介護の業種です。

制度の趣旨から考えると、労働力を補うためではなく発展途上国への技術移転が目的ですので、残念ながら人材不足が深刻なサービス業で接客等の職種は、現時点では認められておりません。

職種の詳細情報(外部リンク:JITCO(公益財団法人 国際研修協力機構)のホームページ)

外国人技能実習生の人気が高い国は?

まず日本政府が認定している国は、15ヶ国になります。(中国、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、ペルー、ラオス、スリランカ、インド、ミャンマー、モンゴル、ウズベキスタン、カンボジア、ネパール、バングラデシュ)

5~10年近く前は中国が一番人気でしたが、ここ最近はベトナムが人気です。理由としては、親日感情が高く真面目で勤勉な気質があり宗教上の問題もないことが大きいです。

ただベトナムも急速に成長しているため物価や賃金も上昇しています。そのため中国のように自国である程度の収入が稼げるようになると日本へ来る魅力も減ってしまいます。

今後期待されている国としては、カンボジアやミャンマーが有力との説もありますが、現時点ではベトナムの受け入れ人数が多いです。

また中国やタイなどは製造工場の拠点がある企業は、技能実習後に戻ってからまた自社の工場で働いてもらえるメリットがあるため受入れるケースもあります。フィリピンに関しては英語圏となるため英語が話せることから希望する企業がいます。

ベトナムのハノイ旧市街

2. 外国人技能実習制度の総額費用は?

管理や申請書類の手続きの手間が軽減されることから、ほとんどの企業が団体監理型で外国人技能実習生を受け入れますので、その場合の料金をざっくりと時系列でお伝えします。

料金が発生する時期と総額費用

  1. 組合加入~面接・人選完了:約20万円/名(3名だと40万円程度)
    (組合加入金、JITCO賛助会員費、各書類作成代など。面接時の渡航費は別途実費となります)
     ※賛助会員費などは1社につきなので、複数人を受け入れても同じ金額です。

  2. ビザ発給~日本に入国・1ヶ月間の入国後講習:約21万円/名(3名だと63万円程度)
    (実習生の入国渡航費、入国後の講習費用、入国後の生活費など)
     ※組合加入してから実習生が企業に配属されるまで約6ヶ月前後が必要です。

  3. 企業に配属し実習開始から帰国まで:毎月約18万円
    (実習生の月々の給与、社会保険料の企業負担分、住居費、組合への監理費など)
     ※実習生の給与は最低賃金以上、最低でも手取り8万円以上、残業込みで手取り12万円以上が望ましい。
     ※住居費は、家賃・水道光熱費・ネット通信費・生活備品まで企業負担。実習生の給与から3万円まで控除可。

  4. 技能実習2号移行時(2年目):約9万円/名(3名だと15万円程度)
    (技術検定試験料、JITCO賛助会員費、書類申請費など)

  5. 技能実習2号期間更新(3年目):約6万円/名(3名だと9万円程度)
    (JITCO賛助会員費、書類申請費など)

  6. 帰国時:約9万円/名(3名だと20万円程度)
    (実習生の帰国渡航費や交通費など)

3名受け入れの諸経費合計:約150万円
※実習生のメンタル面などを考えると1名で受け入れるより、3名位で受け入れる場合が多い。

諸経費を月額に換算すると、1名あたり約1万4千円である(150万円÷36ヶ月(3年間)÷3名)
なので毎月発生する給与など18万円に諸経費をプラスすると、1名あたり約20万円となる。

これを日本人を雇用した場合の賃金と比べると、総支給額で約17万円で雇用するのと同じ位になります(社会保険料の企業負担分があるので)

また正規雇用の場合は賞与や退職金などの福利厚生費を加味すると外国人技能実習生よりだいぶ高くなります。

企業の賃金によって外国人技能実習生の料金が高いと感じるか安いと感じるかは様々ですが、10年近く前の研修生時代のように安い労働力という訳ではありません。

むしろ安い労働力としての考え方に対しては日本政府も改善を図っており、現在は日本人と同等以上の賃金と定めています。

技能実習生の面接風景
技能実習生の面接風景です

3. 技能実習生の訓練学校での様子

技能実習生は日本に入国する前に約3~4ヶ月は訓練学校で生活をしてから来日します。日本語の勉強や技能実習のための事前訓練、体力向上や共同生活に慣れる目的もあります。写真とともに紹介しますのでご覧ください。

訓練学校での一日の流れ

朝6:00に起床をし、運動をします。(ラジオ体操をしてから、腕立て伏せ・外周マラソン・外周歩行・スクワットなど筋力トレーニングを約40分間行います)

技能実習生の朝のラジオ体操

7:00から朝食と食べ、8:00から10:00まで2時間の授業を行います。10分休憩を挟み12:00までまた2時間の授業を行います。

外国人技能実習生の授業風景

昼食を食べたら13:00から16:00過ぎまで授業を行います。日本語の勉強だけではなく、建設業や製造業など実際に配属される企業での実習内容に沿っての実務訓練も行います。また安全管理や道具の呼び方などの日本語も学びます。

外国人技能実習生の実習技術訓練

授業が終わった16:30から運動をします。(準備運動をしてから、腕立て伏せ・外周マラソン・外周歩行・スクワットなど筋力トレーニングを約30分間行います)

その後は夕食を食べ、お風呂に入ったり自由時間が少しあり、20:00から22:00まで2時間は日本語の自習を行い就寝となります。

過酷な環境ではありますが、日本へ行くことに希望を持ち毎日努力をしているのです。

技能実習生の寮のベッド

4. 技能実習生の失踪状況と対策

日本に来る技能実習生が増加する一方、日本で失踪してしまう技能実習生も増えています。失踪の人数は年々増えており年間5000名以上が失踪する事態となっています。

失踪した技能実習生を国別にみると、中国が一番多く、次にベトナム、その次はミャンマーとなっています。

過酷な労働環境・社内環境

失踪する一つ目の理由は、重労働など過酷な作業で企業が技能実習生を酷使することです。3K労働と言われるような環境で求人募集をしても日本人が集まらないので、技能実習生を利用しているという実態もあります。

重労働をさせてはいけない訳ではなく、体力的に厳しい場合は徐々に慣らしていくことや適度に休憩も設けるなど労働環境を改善することも大切です。

また暴力を振るったり、いじめをしたりと労働以外の社内環境が問題となる場合もあります。母国を離れ家族のために働きにくる技能実習生にとって、日本は言葉もスムーズに伝わらず生活習慣も全く違う異国に地です。

そんな不安のなか頑張ろうとしている技能実習生に対して、精神的に追い込んだり暴力を振るったりすれば失踪しようとするのは当たり前でしょう。

給与が少ない低賃金の問題

失踪する二つ目の理由としては、低賃金の問題です。失踪を手助けするブローカーなどもいますので、給与の手取りが10万円を下回る技能実習生に「今よりもたくさん稼げるよ」と誘い甘い言葉にのせられて失踪するケースもあります。

もちろん企業側も人件費を抑えたいですが、技能実習生の目的は「日本に稼ぎにきている」というのが実態です。

最低賃金の時給でも残業を多くして稼げるようにしたり、年更新の際には昇給したり、仕事がなくて手取りが少なくなってしまうときは賞与として少しカバーしてあげたりしましょう。

技能実習生が失踪しないために

失踪してしまうことは、企業にとっても技能実習生にとってもマイナスでしかありません。

特に企業としては最長3年間をしっかり働いてもらうことで実習生の技術力が向上し、作業スピードが早くなったり出来る業務の幅も増えたりと、会社の戦力として活躍してもらえます。

失踪しないための対策として、労働環境や社内環境を整えたり、技能実習生が稼げるようにしてあげることが大事ですが、もうひとつコミュニケーションをしっかり取るということも非常に重要です。

作業手順を間違えてしまったり、企業側が思うように対応してくれないときに、言葉が通じづらいので説明するのが面倒だと放棄するのは良くありません。技能実習生もこのままのやり方で良いと思い、悪気もなく続けてしまいます。

またこの際に感情に任せて怒鳴ったりすることは厳禁です(特に人前で怒られることが、非常にプライドを傷つけられたと感じる国もあります)ですので感情的にならずに根気よく叱る、説明することを繰り返しましょう。

また業務以外の場でコミュニケーションを取ることも大切です。社員旅行に一緒に連れていき、日本の観光地を見せてあげることも喜びます。また普段からご飯に誘ったり遊びに連れて行くことにも大きな効果があります。

外国人だとか日本人だとか関係なく、誰かに良くしてもらったり優しくしてもらった場合は、お返しをしようとか期待に応えようとして頑張ります。

これからの少子高齢化による労働人口減少に備え、「どうやって外国人技能実習生に活躍してもらうか?」を考えたうえで雇用を検討して頂ければと思います。

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